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志賀 「突撃しろ。」
仁平 「五十嵐、敢闘精神、玉砕の心意気じゃ!」
五十嵐 「はっ!五十嵐二等兵、ただ今より敵陣突破の任務に付かせていただきます。」
志賀 「潔く死んでこい。」
金本 「死ぬときは一緒だぞ。」
中野 「自分たちもお供します。」
落合 「自分も。」
五十嵐 「よし、いくぞ。」
四人 「うおーーー… ダダダダ…」
米軍役 「ダダダダダダダダ…」
四人、機関銃に打たれて倒れる。
松永 「ヘイ!突撃するアルヨ!」
箱森、松永のセリフにずっこけて
箱森 「カーーーット!」
箱森、松永へ歩み寄って
箱森 「おまえはなに人なんだ?」
松永 「だって(台本をあわてて取り出し、指をさして)、セリフは自由って書いてあるじゃないか。」
箱森 「『あるじゃないか』?」
松永 「あっ、(おびえて目をそらしながら)…あるじゃありませんか、箱森様。」
柬理 「自由って言っても、俺たちアメリカ軍の役なんだぜ。それなりのセリフにしようぜ…(
箱森のご機嫌をとりながら)そうですよね、監督。」
箱森 「うむ、おめーもなかなか気が回るようになったな。よし、俺様の使いっぱ一号に昇格してやろ
う。」
柬理、まわりの者を見回しながら得意気にしている。
仁平 「じょ、冗談じゃないぜ。柬理なんかに箱森様の使いっぱが務まるわけないですよ。」
五十嵐 「なんだ仁平、おまえ使いっぱ一号の座を取られたくないからって。」
仁平、箱森の肩をもみながら、
仁平 「いやぁ、そんなことないって。ぼくはただ箱森様のお役に立てるだけで幸せなんだ。」
箱森 「うむ、良い心がけだ。どうだ、松永の次のセリフを誰か考えてやらんか。」
松永 「うん、アメリカ軍がどんなかけ声をしたかを知りたいな。」
一同、考え込む。宮口がスッと出てきて、
宮口 「ファック ユー!」
全員(作業中の人達も含めて)宮口の意外な発言に驚き、目を向ける。
すぐに何もなかったかの様に無視をする。
五十嵐 「やっばりここは英語の得意なやつが考えるべきだよな。」
志賀 「俺か?おれ。」
一同 「はははははははは……。」
宮口 「な、なんだよぉ…。みんなでシカトすんじゃねぇーよ……。」
宮口、いじけて隅に戻る。
伊藤 「なっ、なんでだよ!」
箱森、脅しをかけるつもりで近くのイスを蹴りあげて、
箱森 「なんだぁ、その口の聞き方はぁー!」
伊藤、さすがにびくついてしまって、先程までの勢いがなくなる。
伊藤 「何がくだらないのか説明してよ…。」
伊藤 「そ、それは……」
永吉 「そこまで詳しく見る必要あるのかよ!」
志賀 「あるね。…資料を見るときにはそこが一番重要なんだよ。数字に出ていない隠された
事実が絶対にあるんだ。」
永吉 「そんな難しいこと、おれたちに分かるわけないじゃんか。」
箱森 「そう、分からねぇよ。分からねぇことは最初からやらねぇでよ、みんなでパアーと楽
しい戦争劇をやろうぜ、な。」
佐野、とうとう立ち上がり、
佐野 「楽しい戦争劇…。戦争って楽しいものなの?」
ミーハー三人組、すばやく反応する。
柬理 「楽しくない戦争を楽しく見せるのが面白いんじゃん。」
永吉 「楽しく見せられる戦争なんてあるのか?」
箱森 「おめぇーはすっこんでろ!」
箱森、机に座るのを止め、佐野の方へ歩み寄る。
永吉、佐野の背中に隠れるようにすっこむ。
箱森 「佐野さんよー…。」
箱森、佐野を見おろすつもりが視線が合わず、仁平に指示する。
仁平、近くのイスを踏み台として差し出す。
箱森、イスに乗って、
箱森 「おれたちのやろうとしていることは文化祭なんだよ。文化祭は楽しくなければお客は
素通りしちまうんだぜ。」
ミーハー三人組、箱森の威を借りて、
富樫 「そうそう、どんなに一生懸命調べて書いても、興味のひかないものは読むどころか
見てもくれないしさ。」
斉藤 「あるある、むなしいよねぇー、それって。」
平尾 「戦争についての記録なんかを展示したって、誰が読んでくれるもんですか。」
三人で 「ねー。」
佐野 「でも、少なくとも戦争の悲惨さをみんなに分かってもらえるわ。」
秋里 「いや、それはどうかな…。」
今まで黙っていた秋里が口火を切り、注目される。
秋里 「現代のように情報が氾濫している世の中ではさ、本当に必要と思われる情報は自分
で探すんじゃないかな、みんな。戦争についてだって、図書館に行けばいくらでも
手に入るし、テレビでもやっているし。」
志賀 「はっはっはっ、そうだろ。」
秋里、伊藤と佐野に向かって、
秋里 「だから、図書室で借りてきた本を模造紙に写して展示したって、どんなにていねい
に目立つように書いたって、意味がないんだよ!だからおれ…、おれさ…、何だか
書いていて悲しくなってきちゃって、でも、だからって、戦争ごっこみたいな劇に
は出たくないしさ…。どうすればいいんだよ、あと二週間だよー…!」
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