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 文化祭の企画(テーマ)を決めよう

 

 学校行事では普段の授業では経験できない「自治的活動」を行うことが大切です。企画の段階から教員が自分なりの理論をもって関わっていきましょう。私は自治的活動で一番大切なことを、話し合いだと考えています。そこで、話し合いの基本となる「討議」について説明します。

 


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討議の2つの方向性

 ここでは討議を2つの方法で分類します。
  @ 何もないところから全員で意見を出し合う。
  A 原案を提出し修正意見を出し合う。

 @の方法は、クラスの中で何か問題が起きたときに、全員がその出来事を真剣に受け止めて解決策を一人ひとりが考えるときなどに有効です。一定の時間内に意見をまとめるのは難しい方法だといえます。

 Aの方法は、全員が原案について考えるところから始まるので、比較的集中して討議することができます。原案があまりにも出来過ぎていると修正意見を出しにくく、すぐに討議が終了してしまいますが(それでも討議の原則には当てはまっているので時間短縮のためには良い)原案がほどよくあやふやなところがあると修正意見が出やすく、活発な討議ができます。

 私は文化祭の企画について話し合うにはAの方法が優れていると考えます。

原案とは

 原案とは話し合いのたたき台となる提案内容のことです。原案が提示されると、全員が原案の内容をくわしく理解しようと質問が出されます。全員が原案について理解した次の瞬間には、「原案に賛成」「原案に反対」「条件付きで原案に賛成」などと、各自の意見の方向性が定まります。ところがだだ原案に反対という意見は認められず、反対意見をもつ者は原案よりも優れた修正意見が求められます。

 このように討議のルールを明確にして話し合いを行うことで、一定の時間内に結論を導き出すことができます。事前に生徒総会や遠足、林間学校などの話し合い活動で討議のルールを学んでおくことが理想的です。
 

原案のつくりかた

 ステップ1 担任が素案を考える

 ステップ2 学級委員が素案を検討し、修正する

 ステップ3 班長会で原案を作成する

ステップ1 担任が素案を考える

 素案とはいっても、そのまま原案として通用するぐらいの企画書になっていることが大切です。企画書の書き方を学級委員や班長が理解することができるからです。学級全体を見渡し、メンバー構成を把握している立場としての担任が考える原案は、出来が良すぎてしまうきらいがありますが、そこはプロですからあやふやな部分をわざと残し、修正意見を出させることができます。一番の利点は、原案を考える段階から準備作業の計画まで考慮することができるので、ずくにでも活動を始められるということです。

ステップ2 学級委員が素案を検討し、修正する

 学級の代表として選ばれた学級委員(一般的には2〜3人ぐらい?)が考えた原案は同じ中学生としての立場ですから、修正意見が出やすいという利点があります。また、外から見たときに、より「生徒の自治的活動」という雰囲気がします。

ステップ3 班長会で原案を作成する

 ステップ1、2はクラスのメンバー構成や日程の関係で省略することがあります。ここで大切なことは、最終的には班長会が原案を作成するというところです。(班単位で清掃などの活動をしているクラスであることが前提)班長が班員の意見を吸い上げてそれを班長会に反映させることができるからです。班は4〜8人のメンバーで構成されているので意見をまとめやすい人数です。

 「全員からアンケートをとって決めるのはどうか」という考えについては否定はしません。しかし、それでは班長に「班員の意見を反映させる」という自覚を持たせづらくなりますので必ずしも優れた方法であるとは思いません。

 

私の取り組み

 私のホームページを観てくださった方から多くの感想のメールをいただきましたが、その中の何人かから「先生の意欲が伝わってきますが、もう少し生徒の自主性を大切にした方がいいと思います。」という内容のご意見をいただきました。たぶん私のプロフィールの「今年の文化祭の取組中に既に来年の構想ができあがっている」という部分に対しての意見だと思います。現在は誤解を招かないようにプロフィールの内容を更新してありますが、この機会ですから説明したいと思います。

@私が考えた原案を提案する。
A一定期間の間に意見を引き出す。
B大幅な修正案が出たら、更に期間をとって修正案をまとめる。
C原案と修正案を比較し、決議する。
D決議内容(原案か修正案のどちらか)を元に、細かい修正意見を出す。
E活動中に新たな問題やより優れたアイデアが出た場合には軌道修正することを確認する。

 ここ数年間は原案が好評で大幅な修正案が出ずに取り組みがスタートする状況が続いています。それ以前は「演劇をやりたい」「お化け屋敷がいい」という意見がでました。単なるお化け屋敷は何かを学ぶという観点に欠けているので、現在の勤務校では認められないのですが、演劇は教室を使うという原則を守れば可能です。でも、ここ3年間の私が提案する企画には、「観客をゲストとしてあたたかくおもてなしをする。」という演劇のような要素を取り入れているので、演劇をやりたい生徒にとっても思いが叶う内容になっています。観客を巻きこんで「ワニにおそわれる−!」「宇宙船がブラックホールにひきこまれる−!」「巨大な海洋生物がおそってきた−!」というハプニングを設けることでお化け屋敷のような要素も入っています。さらに、環境を守ることの大切さを訴えるというまじめな内容がベースとなっているので、反対するべき要素がないというところが真相ではないかと分析しています。
 原案の企画を説明した瞬間から、生徒は「巨大生物をつくりたい」「何か模型をつくりたい」「イラストを描くような仕事がいい」などと、教室が役割分担の希望を言い合うという雰囲気に包まれます。
 


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